ご当地ずしの魅力
第8回 高級握りずし
第8回目は、「高級握りずし」をご紹介します。
すしはごちそうです。ですから余裕がある時には、思い切りぜいたくに作ればよいのです。
たとえば、ちらしずしや箱ずしを作るときなど、「いつもより具の数をよぶんに入れようか」とか、「いつもはアジを使うんだけど、今日はタイを奮発しちゃおうか」とか、思いませんか?
巻きずしも、ふだんは芯が細いのでがまんしていますが、特別なときには、「玉子焼きも入れてキュウリも入れて、焼いたアナゴも巻いて、いやいや、ここは一番、ウナギに変えてみましょうか」なんて、食べきれないほどの芯になったりして。
実際に食べるときはもちろん、材料を準備する段階、作る段階もまた、おしゃべりをしたり笑ったり。
おすしって楽しくさせてくれるんですよねぇ。
北海道 蝦夷前ずし
「蝦夷前」というのは造語で「江戸前」をもじったもの。要は、北海道の魚介類を使った握りずしです。「握りは江戸さ」というのはタネを下処理する江戸前ずしですが、北海道でとれる材料は、荒波にもまれ、身もしまって、なんといっても新鮮!すしにするのには最適です。もちろん、北の寒い海でないととれない、ほかでは見られないようなエゾアワビ、ホッキガイなどが、「蝦夷前」にはたくさんいます。
岩手県 前沢牛のすし
奥羽山脈と北上高地に挟まれた盆地で、目の前を北上川が走る、そんな山あいの町で、すしなんて…。駅を降りたとき、あたりの風景にぼうぜんとした記憶があります。しかし海は遠くても、ここは前沢牛の産地。40年以上も前から地元のすし屋さんが開発し、トロに似た霜降り肉の味わいが人気となりました。さらにあぶったタンを握ったりユッケを軍艦巻きにしたりと、ご主人の挑戦的な試みは、今も続いています。
宮城県 フカヒレのすし
わが国は世界でも有数のフカヒレ生産国です。中でも水揚げが最も多いのが宮城県気仙沼港。フカヒレは乾燥して輸出され、中華料理の超高級材料となります。これを水に戻してほぐしたものがスープですが、甘酸っぱい金糸状のフカヒレを軍艦巻きにしますと、中華風のすしとなります。また、そのまま握りずしのタネにしたのが姿ずし。こちらは日本風な味わいですね。プリプリとした食感は高級感いっぱいです。
熊本県 馬肉の握りずし
初代、熊本城主といえば加藤清正。彼が朝鮮出兵をした際、食糧難に陥ったときに馬肉を食べ、それを帰国後に、熊本の領民に伝えたのが熊本の馬食の始まりだといわれています。現に馬刺しの生産量は、熊本が第2位を離してブッチギリの1位です。現代、馬肉は高くなりまして、そのすしは高級品。でも、高タンパクでも低カロリーな肉は美容にもいいですし、サシ(脂肪)入りの握りなど、トロにも負けません!