Interview

付加価値を創り出す現場の誇りと進化に向けて

㈱Mizkan Holdings執行役員
日本+アジア事業 生産物流本部長

FUKAYA HIROYASU

最前線に立つ責務と誇り

江戸の創業から続くミツカンの長い歴史は、社員一人ひとりにミツカンの商品を通じて生活者の役に立つという責務を、常に感じさせてくれます。そして、生産物流の現場は、まさにその最前線にいる誇りを持ち、生活者にとって価値あるものを「つくる」「届ける」ことに、日々、力を注いでいます。

その中で、企業理念である「買う身になって まごころこめて よい品を」「脚下照顧に基づく現状否認の実行」を、より具体的に毎日の仕事において感じられるのが生産物流の現場だと私は思っています。

ミツカンの生産物流本部が創り出す「生活者にとって価値あるもの」とは何か? 大きくは3つ。1つ目は、当然のことながら、安全・安心の担保。2つ目が、常に、生活者が求める時に必要な量をお届けするということ。そして3つ目は、『ミツカン未来ビジョン宣言』で掲げた「おいしさと健康の一致」を目指し、時代が求め、環境が求め、生活者が求める商品を提供するために、商品開発部門がエビデンスをもって設計した品質を生産現場で実際の商品として再現することです。これは、まさに「買う身になって まごころこめて よい品を」につながることです。

生活者に寄り添うこと。
その期待に応えていくこと

「品質は工程でつくりこむ」という言葉があります。製造ラインでの工程管理や品質保証のチェックはもちろん重要ですが、大前提は、品質はモノづくりのプロセスにおいてつくりこんでいくものという考え方です。これに加え、ミツカンには「安定稼働に勝る品質保証はない」という考えが息づいています。品質を高めるためには、とにかくライン稼働を安定させることが大事。例えば、今日10個の不良品が出たら、明日には9個にするにはどうすればいいか。それを常に考え続け、今日まで来たといっても過言ではありません。

付加価値を重視する姿勢は、ミツカンがこれまで伝統的に持ち続けてきたものです。ミツカンの生産物流では、コストや効率を語る前に「安全第一、品質第二」を言い続けています。決してコストや効率を軽視しているわけではなく、現場で働く社員のための職場の安全と、生活者に手に取っていただける価値ある品質の提供を実現すれば、コストや効率への取り組みは自ずとついてくるからです。まず見つめるべきは、我々の仕事の先にある「生活者の喜ぶ顔」。生活者の期待に寄り添い、さらにはそれをも超えていく。その視点のもと、生産現場の一人ひとりが改善し工夫した実例が、近年もあります。

例えば近年大きく伸びた「鍋つゆ」。「鍋つゆ」の需要が想定を大きく超える環境の中、2020年の日産量(1日あたりの生産量)は、2017年と比較して約1.3倍を実現。決して能力の高い製造設備に入れ替えたわけではありません。現場で働く社員一人ひとりが考え、チームで語り合い、「ラインを止めず、安定稼働するには?」「不良や廃棄を無くすには?」「どこに改善できるロスがあるか?」を製造プロセスの要因を細部にわたって検討し、工夫と改善を積み上げた結果、成し得たものです。まさに、現場で「脚下照顧に基づく現状否認の実行」を積み重ね、実現した成果だと思っています。

「見える化」への果敢な挑戦が
「その次」を生む

そして今、『ミツカン未来ビジョン宣言』のもと、生産物流が特に果敢に取り組んでいるのは「見える化」への挑戦です。そのままでは目に見えないものを形にして見えるようにすることを可視化といいますが、見える化は、可視化した情報やデータを組織の壁を超えて場所や時間を問わずつなげていき、具体的な行動に結びつけていくこと。

具体的には、「供給プロセスの見える化」と「技術の見える化」の2つ。前者の「供給プロセスの見える化」は、先に挙げたような製造プロセスも含め、調達~受注~生産~物流~出荷までの供給プロセスの進捗を見えるようにし、改善・工夫することで、業務の効率化や生活者のための価値につなげていくこと。また、「技術の見える化」は、例えば、経験者や力量者の技術やノウハウを、その人の洞察力や解析力も含め、誰もが活用できるようにしていく。この2つの「見える化」ができれば、今の「つくり方」「運び方」を当たり前とせず、より良くするための問題や改善点がどこかに隠れていないかを見出し、行動につなげていくことができます。今以上に、現場の改革が進み、新しい価値を生活者に提供できるようになると考えています。

ミツカンは食品メーカーであり、特に食酢や納豆といった醸造や発酵技術を活用した商品が基幹商品です。その製造プロセスにおいては、現在、一定の設定値はあるものの、それは従来の勘と経験から導き出されたものがまだまだ多い。そこには自然を扱うからこその難しさがあるわけですが、過去の経験や現象、実績を紐解き、デジタルを使って「見える化」し、食品の「おいしさ」を科学的に解明する。そうして、根拠をもった基準や条件を製造プロセスに反映させていくことが、安定稼働においても、生活者の期待に応えるさらなる付加価値を生み出すためにも、とても大切です。

例えば、生活者が「もう少しやわらかい豆の納豆が欲しい」と考えているならば、大豆の産地ごとに品質が変わっても、「このような条件で豆を炊けば可能になる」と根拠を以て実現できる現場でありたいと思うのです。

この「見える化」を、BIツール(※1)やIoT、さらにはARやAIといったデジタル技術も活用し、スピード感を持って進め、例えば、長い年月をかけなければ習得が難しかった技術やノウハウを3年で習得できる仕組みを構築していく。生活者の期待に応えることにどんどんチャレンジしていくことで生産物流の現場で働く社員の成長につなげていく。そして、また、新たな価値を生み出していける生産物流本部でありたいと考えています。

(※1)製造現場の設備や帳票からデータを自動収集し、稼働状況を常に可視化することで、改善マネジメントのサイクルを促進するためのツール

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