【2】金時豆の押し寿司・金時豆のちらし寿司
向かった先は、JA高知県女性部安芸地区安芸支部さん。
この建物の中に調理場があるということで伺ってきました。
1升分のお米だそうです。早速すし作りスタートです!
すし酢の材料は、上白糖、塩、うま味調味料、柚の酢(ゆのす)、米酢。
これらを全て混ぜ合わせておきます。
硬めのちりめんじゃこと、ふっくら柔らかな釜揚げしらすのちょうど間くらいのもの。
ここでは、「ちりめん」とか「おじゃこ」とか呼ばれていました。
漬け込み時間は特に決めていないということでしたが、体感5分ほどだったと思います。
家で作る時は、焼いたサバの身をほぐして入れたりもするようですが、人に出すような時は、サバだとアレルギーがあったり、小骨が混ざってしまったりしたら大変なので、ちりめんを使っているのだそうです。
ちりめんの旨みが加わった、柚の酢たっぷりのすし酢をまわしかけていきます。
「酢飯は酸っぱいのがいい。」とお母さん。
ちりめんじゃこ入りの酢飯の時点で、もうすでに美味しそうです。
念のため、お母さんがたにミツカンのすし酢で金時豆のすしを作ったことがあるか確認してみると、初めてとのこと。
ちりめん入りの柚の酢酢飯と、通常のミツカンのすし酢のみでは、味わいが大きくことなってしまうため、今回はミツカンのすし酢にちりめんを漬け込んでみることにしました。
ちなみに、ミツカンの人気ぽん酢商品の一つ「かおりの蔵 丸絞りゆず」に使用しているゆずは、ここ安芸のものだとか。
どうせ混ぜてしまうのだから、細かいことは気にしない気にしない。
ちりめん入りミツカンすし酢を回しかけていきます。
レシピをうかがおうとすると、お母さんがすかさず話してくださいました。
「すし酢のレシピはちゃんと計量するけれども、こういう煮物などはいちいち計っていないのでレシピはわからんがですよー。野菜は適当な量を、適当に切って味見しながら多めに作って、そこからすしに丁度良い分量を入れる。ニンジンが何本とかレシピ作っても、サイズが異なれば味付けも変わってしまうのでレシピはない!申し訳ないけど、これが適当ってやつです。」
実はこれ僕も同感で、レシピを出せるものと出せないものがあるんですよね。
出そうと思えばそれっぽいレシピをいかようにも出せるのですが、お母さんがおっしゃる通り、
材料:ニンジン1本 といっても、大きさが違ったり
砂糖 おおさじ2 と記載しても、調理中に素材から出る水分の違いで、もう少し砂糖を加えなければ味が整わなかったり。
「レシピ通りに作ったのに、美味しくできませんでした。」というご意見がたまにあるのですがレシピはあくまでも参考であって、その時々の素材の状態を見極めて、味見をしながら整えていくのが、調理の現場の基本です。だから、参考程度であっても細かな分量を出したくない。
そのお気持ちはとってもわかります。
材料:すべて適宜 これでレシピを出したいってやつですよね!
「煮物の汁はあまり切らず、汁も結構入れると美味しい。」とお母さん。
甘めの具材に、酸っぱい酢飯。
五目チラシ、もうこれだけで一品です。
柚の酢で押し寿司の道具(押し抜き)を湿らせ始めました。
木の道具を水で湿らさず、柚の酢(柚果汁100%)で湿らせるのが土佐流。
誰一人、何の躊躇もなく、柚の酢で道具の準備を整える。
これが土佐の当たり前、これが土佐の日常。
そして自らの手さえも、水や酢水を使うことなく、柚の酢を染み込ませることで、すしの味が余分な水分でぼやけてしまわないようにするのです。
「しゃもじでか過ぎたな!」とゲラゲラ豪快に笑うお母さんたち。
「金時豆の押し寿司」・「金時豆のちらし寿司」というように、すしの名前にそのまま使われていますから、誰がなんと言おうとお豆が主役です。
ここの地域が金時豆の産地かというとそうではなく、赤い色はおめでたい時に使いやすいからという理由で使うようになり、気がついたら根付いてしまったのだとか。
産地ではないものの、畑で金時豆を育てている人は結構いたそうです。
私の田舎では、お赤飯をささげやあずきではなく、金時豆で作るのがお祝いの食べ方だった。ということも教えてくださいました。
なんとも可愛らしい見た目です。
これを上から押し蓋でギューっと押すだけで、棒状の押し寿司になります。
押し寿司の下に包丁をスッと入れて持ち上げ、器に盛り付けていきます。
背中には、【燃料は酒】の文字。
「いかん!今日はこのTシャツやった!」と大笑い。
「ナスの絵が描いてある、そっちのピンクのTシャツの方はナス農家の茄子マダムだよ!」と大笑い。
「お豆の数は、特に決まりはないんですか?」と聞いてみると、
「今回は酢飯が2種類あるから、わかりやすくするためにね!」
と、なんともセンスの光る臨機応変っぷり。
金時豆が2個入ると、また見た目の印象がだいぶ違いますね。
金時豆2つ(下段)が柚の酢バージョン
見た目はほぼ一緒、でもきっと味と香りは全く違う2種の食べ比べ。
ミツカン酢バージョンをお味見。
おおお!THE定番の、美味しい五目ちらし寿司の味だ。
そして、金時豆が思っていた以上に甘くない。
お砂糖は貴重だったから、昔のすしは甘くなっている。
そんなお話もしていたので、てっきり、めちゃ甘いものだと思って食べたので、余計に驚き。
ミツカン酢の酢飯だと煮た金時豆の味をとても感じやすかったです。
それにしても金時豆が甘過ぎず、本当にちょうどいいお味。
そして、分厚過ぎず食べやすいのもいいです!
そして、金時豆の押し寿司(定番の柚の酢バージョン)を食べてみると。
一同、「おおおおお!やっぱりゆずがうまいねー。」と、ゆずの香りと特有の酸味が金時豆の素朴な甘さと調和して、一瞬で魅了されてしまいました。 そして、ゆず酢飯のほうが、ちりめんの味をよく感じるというのも印象的でした。
お祝いでお誕生日に作ったりすることはなく、あくまでもお祭りのため。
販売されている田舎寿司に金時豆の押し寿司が入っていたりすることもあるようですが、田舎寿司が色とりどり、味とりどりなこともあって、金時豆の押し寿司には五目具材が入っていない、金時豆と酢飯だけのシンプルなものだったりするそうです。
ただし、押し抜きを持っている人は、各家庭で作る人もいるそうです。
残ってしまったら、翌日焼いて食べたりしますか?と聞いてみると。
「焼いて食べるのは皿鉢の姿すしとか昆布すしとかは焼いて食べるけど、金時豆の押し寿司は焼かないねー。だって、残らんから!笑」とお母さん。 昔、お姑さんが、残った色々なすしと一緒に、金時豆のすしを「全部蒸し」して食べさせてくれた思い出があるなー。いまどきならレンジで温めても美味しいと思いますよ!と教えてくれました。
先ほどの五目酢飯に金時豆を投入。
酢飯と混ぜ込んで、押し寿司とは形状の違うすしをもう一つ作ってくださいました。
ちらし寿司のほうは、上に豆をのせるだけでなく、酢飯に金時豆を混ぜ込んでから、さらに上からも飾り盛り付けるということで、金時豆率は、ちらし寿司のほうが高くなりますね。
使用具材は全く同じものの、食べた時に金時豆が多めに口に入ったりすると、急に贅沢な味わいに感じたりするのもちらし寿司の魅力です。
つやっつやの金時豆。
しかし残念なことに、これらの金時豆のすしの作り方は次の世代に継承していないとのこと。
自分の娘に教えとかんといかんと思うがやけど、目分量で作るから、しっかりレシピを出して教える機会がなかったのよ。とお母さん
見た目が同じなので、どっちがどっちだか、わからなくなりそうですが、柚の酢の香りはしっかりとその存在を主張してきます。 金時豆以外の豆を使ってすしを作ったことはないけれど、その他の具材をタケノコ、わらびなどの山菜にしてみたり、こんにゃくを入れる家庭があったりすることも教えてくださいました。







