ビタミンK2量を向上させる「ほね元気」が
納豆で初の特定保健用食品に

簡単で便利な納豆という食品で、
より多くの方の健康な生活に寄与できることを期待し、努力していきたい

納豆菌の保健機能成分がトクホに

「特定保健用食品」(トクホ)とは、からだの生理学的機能などに影響を与える保健機能成分を含む食品で、血圧や血中コレステロール値などを正常に保つことに役立つなど、特定の保健の用途に資する旨を表示するものをいいます。特定保健用食品として販売するためには、製品ごとに審査を受け、表示について国の許可を受ける必要があります。

ミツカン「金のつぶ ほね元気」は、納豆として初めて、特定保健用食品の許可を受けた食品です。その理由は、「納豆菌の働きにより、ビタミンK2を豊富に含み、カルシウムが骨になるのを助ける骨タンパク質(オステオカルシン)の働きを高めるように工夫されている」というもの。この商品が発売となるまでには、3年近くにも及ぶ研究開発期間が要され、さまざまな実験や試験が繰り返されてきました。

納豆由来のビタミンK2が骨形成に深く影響

「納豆をよく食べる地域の人は骨が丈夫」。ミツカンが納豆事業に参入する1997年以前から、そうした納豆の効果は一般でも広く言われていましたが、当時、その科学的根拠はまったくと言っていいほど示されていませんでした。ミツカンでは当初から、おいしさはもちろん納豆のさまざまな健康機能研究に着手。その中のひとつが、骨と納豆の関係でした。

骨を丈夫にする物質といえばカルシウムが思い浮かびますが、カルシウムが骨にしっかりと吸着されるためには、骨タンパク質(オステオカルシン)という物質を働かせることが必要になります。この骨タンパク質のはたらきを高めてくれるのが、ビタミンK2です。静岡県立大学大学院生活健康科学研究科代謝調節学研究室の山口正義教授との共同研究で、納豆に含まれるビタミンK2の一種、メナキノン-7が、オステオカルシンの働きを高めること、骨の形成促進に深く関わっていることが実証されました。

そこでミツカンは、メナキノン-7をより多く産生する納豆菌の開発研究に取り組むことに。まず、約2万種もの納豆菌の中からメナキノン-7を多く産生する菌を選びだし、それぞれが味わいや糸の引き方に問題がないか検証していきました。1年以上を費やして、メナキノン-7を通常の納豆の1.5倍以上も含み、おいしさを兼ね備えた納豆を作ることのできる理想的な菌を決定。さらに、ヒト試験でメナキノン-7を1.5倍含んだ納豆が血中のオステオカルシンの働きを高めることを証明したのです。

納豆菌 Bacillus subtilis OUV23481株の電子顕微鏡写真(「ほね元気に」使用している納豆菌)

健康に役立つことを期待

こうして開発された「金のつぶ ほね元気」は、厚生労働省(現在所管は消費者庁)の厳密な審査を経て、納豆として初めて特定保健用食品としての許可を得ることとなりました。科学的な根拠(エビデンス)に基づく健康機能が少ない納豆において、きちんとしたエビデンスに裏付けされた食品であることが認められた、数少ない事例となったのです。

2000年に発売された「ほね元気」は2006年には10億食を越える大ヒットとなり、以降もご愛用いただくお客様は増え続けています。「ほね元気」が骨の健康向上に役立っているかどうかは、お客様の目に見えるものでも体感できるものでもありませんが、ご愛用いただけているのは、年齢とともに骨密度が低下する傾向があり 、「ほね元気」がカルシウムが骨になるのを助ける骨たんぱく質の働きを高めるような機能を備えた「トクホ」商品であるということ、さらに、なんといっても納豆本来のおいしさをしっかりと守った商品であることが、大きな理由になっていると考えられます。

「健康機能」と「おいしさ」は、ミツカンの商品を支える両輪。ミツカンは、日本の伝統食である納豆を通じ、現代人の生活に健康とおいしさをお届けし続けていきます。

※「金のつぶ 納豆ほね元気 3P」は休売中です。

研究開発を振り返って

高齢化を迎える日本において骨を丈夫に保つことは大切なことと思います。とくに高齢の女性にとって、重要な課題です。「ほね元気」の開発でその問題解決に貢献できるのは研究者としてもうれしいことですね。これからも、簡単で便利な納豆という食品で、より多くの方の健康な生活に寄与できることを期待し、努力していきたいと思います。
中央研究所 主席 石川篤志

※部署名・役職・内容は掲載当時のものです