facebook line

vol.2 大分県佐伯市の「雪ん子寿し」の里を訪ねて

【2】大分県佐伯市の
「雪ん子寿し」の里を訪ねて

大分県佐伯市に、雪ん子寿しと呼ばれるかわいらしくおいしい郷土寿司があると聞きつけ、すしラボチームでその魅力を探るべく取材に出かけてみました。案内役は一般財団法人観光まちづくり佐伯の川野さんと三浦さん。尚、開発者の高橋さんは先日転倒され骨折中ということで、ご長女の稲田さんにお話を伺うことができました。

愛の里工房

雪ん子寿しは2000年に「きのこ料理コンクール全国大会」で最優秀賞・林野庁長官賞を受賞した地元の宝物のような逸品。現在80歳を超えた高橋さんは今もなお長年この事業を支えており、当時から地元産の干し椎茸や大根、大葉を用いることに強いこだわりを持っていらっしゃいます。約20年前には本匠村を含む9つの町村が合併して佐伯市となり、その地域の魅力を伝える役割も担う商品となっています。

地元産椎茸 地元産の干し椎茸

名前は、初めは無名のまま佐伯市内の観光イベントに出品されていたそうですが、その日辺り一面に積もった雪を見てひらめき、清らかで優しいイメージを込めて「雪ん子寿し」と命名されました。この地はそんなに雪が降ったり積もったりするところでもないんですが、と笑っていらっしゃいました。この名前が地元の人々に愛され、今や佐伯市を代表する郷土寿司のひとつとなっています。

雪ん子寿し

作り方は手間ひまかけた丁寧な工程に特徴があります。特に干し椎茸の戻し方は何度も水を替えてアクを抜く根気が必要で、この下処理により、干し椎茸特有の濃い香りが抜けて、誰でも食べやすい味となっています。加えて、大根は季節により硬さが異なるため、夏は塩をして時間をかけて自然に水分を抜き、揉まずに柔らかくする工夫がなされています。寿司飯は地域の好みに合わせて甘めにしています。大葉は変色しやすいため、持ち運び時は別添えにしたりして細やかな配慮が感じられます。

稲田さん

味は干し椎茸のコクと甘酸っぱい寿司飯、大根のシャキシャキ感、そして大葉のさわやかな香りが一体となり、一度食べるとほっとするような優しい味わいです。急速冷凍を施した商品も開発し、遠方で忙しい方でも気軽に楽しめる商品として重宝されています。佐伯市内と、大分市内の一部店舗でも販売中です。

稲田さんとすしラボチームで記念写真

今後は佐伯の豊かな食材を最大限活かしつつ、雪ん子寿しの魅力を県内外に広めていきたいという夢が語られました。観光資源としての可能性も期待しつつ、高橋さんの思いを引き継ぎながら新たな挑戦に取り組んでおられます。

今回の取材を通じ、長年の経験と地域への深い愛情が詰まった雪ん子寿しの魅力を改めて実感。これからも佐伯市の美味しい名物として、多くの人に愛され続けることを願っています。


ここからはasakoさんが雪ん子寿しをモチーフにしたアレンジメニューについて紹介しますね。素材は変えずに調理方法を簡単にしたもので、寿司飯には市販のカンタン酢に大分名産のかぼす果汁と皮を加え、爽やかさをプラスしました。大根は薄切りにして同じくカンタン酢で漬け、元の味付けを尊重しています。椎茸は干し椎茸の手間を省き、生椎茸を追いがつおつゆと水で電子レンジ加熱し簡単調理。最後に大葉を散らしてちらし寿司仕立てにすると、雪ん子寿しの甘酸っぱさや椎茸の旨味、大根の歯ごたえも良く、さっぱりとした風味豊かで、気軽に楽しめる一品に仕上がりました。


asakoさん提案メニュー

ゆきんこすし
【ゆきんこすし】

今回の取材で、元々のお寿司を作ってこられた方の思いを大切にしたいと思い、いつもなら少し大胆にアレンジをするのですが、元祖 雪ん子寿しへのオマージュということで、材料の種類は変えず、加工の方法もほぼ同じで ちらし寿司タイプにアレンジさせていただきました。

作りやすいようにカンタン酢や追いがつおつゆを使っています。
すし飯はカンタン酢に大分の名産であるカボスの皮と果汁をプラスして。大根は薄くきってカンタン酢で漬ける(これは元祖と同じ)しいたけは、本来なら干しシイタケを何回もに含めながらゆっくりと丁寧に煮るのですが、こちらは生シイタケを使って追いがつおつゆと水で電子レンジにかけて簡単に作りました。 すしめしに大根としいたけ、大葉をちらして、雪ん子寿しのチラシバージョンの出来上がりです。



佐伯市の魅力


リアス海岸 水産業

「九州の夜明けは佐伯から」佐伯市は九州の最東端に位置し、九州最大の面積を持ち、山間部や平野部、270kmのリアス海岸を含む自然豊かな地域です。豊後水道の好漁場からは県内の魚介類の65%を占める水揚げがあるほど水産業が盛んです。

1601年に藩主毛利高政が佐伯城を築き、城下町の伝統も残ります。1623年にはSDGsの先駆けともいえる魚類生息域の森林保護を目的としたお触書を庄屋に出すなど、海の恵みが藩の財政を大きく支えてきました。

浦100プロジエクト

現在、「浦100プロジエクト」として山・川・海の自然循環を活かした観光や保全活動に取り組み、100年先も豊かな環境の維持を目指しています。地域の自然資源を活かすことで、持続可能な産業発展と住民の暮らしの質向上にも貢献しています。

佐伯市マンホール
赤野 裕文(あかの ひろふみ)
山口県出身。広島大学工学部醗酵工学科卒業。1979年、株式会社中埜酢店(ミツカングループ前身)に入社し、食酢の基礎研究やマーケティング、商品開発など食酢に関わるさまざまな分野を担当。2016年、株式会社Mizkanを定年退職し、現在は食酢エキスパート社員として食酢の啓蒙活動を行っている。
西出 麻子(にしで あさこ)
(株)Mizkanに勤務し、主にメニューや商品開発など味作りに関する業務を中心に携わる。会社勤務の傍ら、フランス菓子・和菓子など各方面の専門家に長年師事し、レッスン講師やアドバイザーとしても活動。、また、国内外の郷土菓子・伝統菓子の採集・再現や、「地域と伝統」をテーマにした新しい菓子作りにも取り組む。

PAGE TOP