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(10)盆とサバずし

仏教では食事の時、ご飯粒を小皿に取り分ける。 これはこの世に生まれて来ることができなった者たちへの「施し(ほどこし)」で、このご飯を「生飯(サバ)」という。
一方、盆の時は、日頃お世話になっている人たちに顔を見せてあいさつするとき。当然、手みやげを持って。この手みやげを仏教の「生飯」に見立て、民間では、盆どきには魚のサバを持ってゆくものだとされた。
なまぐさものを嫌う仏教となまぐさ魚の代表であるサバとの間には、こんなつながりがあったのである。

このため、盆の料理としてサバずしを食べる習慣は各地にある。
頭も尻尾もついた立派な場合もあるが、すしご飯に酢サバを切って混ぜただけの、簡単なちらしずしもある。サバとご飯はボウルに入れて、2~3時間、押して味をなじませるのがポイントだとか。そのほか、握りずしにしてもよいし、近ごろはサバを芯に巻いたすしもある。
食欲が落ちがちな暑い時でも、意外とぺろりと腹に収まってしまう。


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日比野 光敏(ひびの てるとし)
1960年岐阜県大垣市に生まれる。名古屋大学文学部卒業、名古屋大学大学院文学研究科修了後、岐阜市歴史博物館学芸員、名古屋経済大学短期大学部教授、京都府立大学和食文化研究センター特任教授を歴任。すしミュージアム(静岡市)名誉館長、愛知淑徳大学教授

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