野菜の下処理・春夏編 4選
オクラ
①オクラの下処理 → 産毛が取れればよい
オクラの下処理は、産毛取りがポイントです。産毛は、そもそも水分の蒸発を防いだり、虫に食べられないための保護柵の様なもの。鮮度のいいものほど多くて痛いので、あることは鮮度が良い証拠です。そうした産毛を取り除く方法は、表面の摩擦で落とす、塩を少量絡めてもむ、冷凍する、などです。
塩を絡めてもむのが色も鮮やかに味もなじみやすくなるので、これが基本です。ネット入りのオクラなら、口をあけ、袋に入れたまま両手で縦にもむようにこすると塩がなくても取れます。少量使う場合は、手のひらをさっと濡らし、小さじ1程度の塩をのせてオクラをのせ、手洗いするようにもんでから、さっと洗います。茹でる場合は塩をつけたまま茹でます。
②そのほかの下処理 切り方・茹で方いろいろ
オクラのなり口、
ガクの処理
焼き野菜やゆで野菜で丸ごとオクラを使う場合に、なり口は、固くガリっとするギリギリのところまで落とします。ガクも固いので、回すように削って除いておきます。ガクまで落として茹でると、水っぽくなるので注意しましょう。
オクラをゆでるか、
ゆでないか
オクラは生食できるので、どちらでも構いません。
ゆでることで青臭さが抜けますが、水に溶け出やすい粘りが出てきます。ゆでないと青臭さが残りますが、シャキシャキした食感が生かせます。
ゆでる場合は、熱湯で30秒。ざるにあげて冷ますか、1分30秒ゆでて冷水に取り、一気に冷やします。水にとらないと甘味と旨みが出て、水に取ると旨みが少し抜けますが、彩りは鮮やかです。
刻みオクラはとにかく薄く切りに、さらに種を除く
オクラは刻むことで切り口から粘りが出てきます。生でもゆでても、多くの種があることで、口当たりが悪く、苦みを感じますので、縦半分に切ってから種を除き、それから刻むとよく、一層粘ります。
オクラの丸ごと揚げ・
焼きは危険
オクラを丸ごと使って揚げたり、天ぷらや揚げ焼きにすると、中の空気が膨張して破裂することがあります。そのため、揚げる場合は、実に切り込みを入れたり、竹ぐしで数か所刺したり、空気の逃げ場を作ります。
ゴーヤ
①ゴーヤの苦み取り → 苦味はワタにあるのか? どうすれば苦くないか?
ゴーヤの苦みはワタにあるとされますが、実は、ワタをしっかり除いても残しても、あまり違いはありません。店頭で売られるゴーヤは未熟な状態。その分緑が濃く、果肉の突起部分が細かく、苦みを強くして果肉や種を外敵から守るといわれます。成熟すると淡色になり突起も膨らみ苦みも少なくなります。
そのためゴーヤを調理する場合は、ワタをしっかり除くより、下処理や調味で苦みを軽減します。ワタは厚みの半分程度除きます。除きすぎると緑の果肉の部分が直接火にあたってしまうからです。また、ゴーヤの苦み成分の多くはモモルデシン。水溶性なので、水に流してしまうことで苦みが軽減され、その方法がいくつかあります。
②苦みを除くための下処理
A:水にさらす
ワタを除いたあと、薄く切って水にさらすことで苦み成分が抜けます。ここで水につけすぎると果肉が水っぽくなったり、炒め物をする際のふき取りが意外と手間になります。薄く切るほうが苦味が抜けやすいのですが、料理によって厚めに切りたいときは向かないかもしれません。
B:茹でる
さらすのと同様、熱湯に入れて加熱することで、モモルデシンが抜けます。ただし、火を通しすぎると食感が失われ、ゆでるのは手間だというご意見も多いようです。
C:塩もみする
3%程度の塩水を絡めて、塩によって脱水させることでモモルデシンが抜けます。塩もみにより、苦みに影響する緑色の色素も多く抜けるので、苦みを減らす効果が高い方法です。ゴーヤの下味をつけることにもなり、塩分を加えることで苦みが感じにくくなる傾向にあり、有用な方法です。塩と砂糖を併用することで、塩辛くなく、食感も保たれやすいと思います。
D:油を絡める、油で調理する
油でゴーヤの表面をコーテイングすることで舌先に苦みを到達させる時間を遅くし、苦みを軽減させさせます。油を使った調理法や豚バラ肉との調理で、苦みが感じにくくなる傾向があります。炒める前に油を絡める、先にさっと炒める、揚げるなど、油を使用するメニューに向きます。また、A、Cとの合わせ技も有効です。
E:塩分しっかり、旨味を加える
下処理ではないのですが、濃い目の味付けをして、豚バラ・削り節・塩昆布など旨みを強く感じる素材を合わせることで、苦みの感じ方が弱くなります。
きゅうり
①基本の下処理 → 省かないでほしい「板ずり」
きゅうりのサラダやシンプルなたたききゅうりがおいしくできないなら、それは、板ずりを省いたからかもしれません。きゅうりに板ずりは欠かせないもので、1本につき小さじ1程度の割合で塩を絡めます。手のひらに塩をのせ、きゅうりをのせて塩が溶けるくらい10回くらいこするだけでよく、こうすればまな板を使う必要もなく、汚さずにできます。
きゅうりがおいしくない、青臭い、味がなじまないなどは、この板ずりでかなり改善されます。その理由は、板ずりをして、きゅうりの表面のイボや、表面を覆うブルーム(白い粉っぽいもので、水分や鮮度を保つための保護柵のようなもの)を取り除くことで、皮の部分が柔らかくなり、口当たりがよくなって、あとから加える調味料の味なじみをよくするからです。またきゅうりの苦み成分のギ酸は、皮の下の維管束にあるため、板ずりすることでそれを取り出して除くけるという意味もあります。
②たたききゅうりはたたかない
たたききゅうりだからと、麺棒でバンバンたたいては、きゅうりが飛び散るだけ。板ずりした後のきゅうりは横長におき、へらで押してにビビを入れ、5cmほどに切ってから手で割き、水っぽい種を少し除くと、今までのたたききゅうりの味が全く変わりますよ。
③冷やし中華や焼き豚に添える千切りきゅうりは種を除く
きゅうりの味わいを変えるのは種の部分。種には独特の香りもありますが水っぽさの原因でもあります。千切りきゅうりを作るなら種は除きます。長さを3等分したきゅうりは縦半分に切ってスプーンの先で種を少しだけ除き、そこから千切りにします。少量の種を除くだけで、添え野菜の香りも食感も、水っぽさも変わります。
④皮を縞目に何本かむいて使うと味わいが変わる
種の部分だけでなく、皮も苦みや食感を変えます。ピーラーで2本程度縞目にむいてから普段のサラダの斜め切り、輪切り、などをすると味なじみがよくなり、これも味わいが断然変わります。
ピーマン
①苦みを解決する下処理 → 切り方や形により、苦みを減らし、感じにくくする
ピーマンの苦み成分は、ポリフェノールのクエルシトリンと青臭さの香り成分のピラジンの混ざったもの。ワタや種にピラジンが多いので、ワタや種をのぞくと青臭さは軽減されます。また、クエルシトリンは果肉に多く含まれ、細胞が壊れることで苦みが出るため、果肉を切らなければ苦みを感じにくいことから、丸ごと調理することも適しています。
苦みを解決する切り方+調理法
果肉に含まれるクエルシトリンは油に流れ出やすいため、油調理はピーマンとの相性が良いといえます。これを苦みの少ない切り方と併せて調理します。
1:丸ごと使う
最近は種ごと、ヘタごとで、丸ごといただくことも多くなりました。肉詰めピーマンも丸ごと使うことで、苦みを溶出しません。クエルトシトリンは油に溶け、舌に直接あたりにくくなるので、丸ごと使う油調理は苦みを感じにくい調理法です。
2:縦半分で繊維を断つように薄く切る
繊維を断つ切り方は苦みを感じやすく、特に薄い輪切りや細切りは、細かく切って繊維を壊すので、苦みを早く感じます。そのため、切った後に、水に10分程度さらすことで苦みを流出させます。
3:縦半分で繊維に沿って1~2cm幅に切る
繊維を断ち切らないので、苦みが出にくく感じにくい切り方です。反面、火通りが悪く、油となじみにくいところも。また、口中で嚙み砕いて繊維を壊すことから、後から苦みを感じることにもなります。
4:縦半分で繊維に斜めに1~2cm幅
繊維を適度にキープし適度に壊します。火通りや油なじみも良いので、苦みを感じにくくなります。
※炒め物やチンジャオロースを作るなら、2~4のうち、この4がよいかもしれません。
②ピーマンの苦みを感じない「パリパリピーマン」
ピーマン:2~3個を縦四割にし、種・ヘタを除いて、かぶるくらいの水に浸け、冷蔵庫で6時間~8時間冷やします。これだけで、ピーマンの苦みが抜け、繊維に沿って切ることで、パリパリした食感が引き出され、今までに食べたことのないほどの「苦くないピーマン」になります。これに塩やマヨネーズをつけるだけで、いくらでもいただけます。
③ピーマンの種を散らかさない切り方
ピーマンはヘタと反対の方に切り込みを入れ、ヘタギリギリのところで止め、半分に割きます。ボウルなどに種を出してから、まな板に載せて切ります。