野菜の冷凍保存 4選

冷凍について 

素材を冷凍保存し、生鮮の時のように活用するにはいくつかコツがあります。
冷凍すると素材に含まれる水分が膨張して体積が増え、繊維が壊され変化が生じます。たんぱく質や脂肪の多い肉や魚に比べ、野菜は脂肪分がなく水分が多いので、この変化が大きくなります。

野菜を上手に冷凍し、解凍して活用するには野菜の水分の膨張を促さないことが大事になります。そのためには、素材をなるべく平たく小さくして、冷凍時間、解凍時間を短くし、水分が抜ける時間を減らすようにします。キャベツやホウレン草の場合は葉が平たく薄いので、それだけ冷凍解凍が早くなります。
また、解凍する過程で、多少時間がかかっても、適度に水分が抜けて繊維が柔らかくなったり、火通りが早くなったり、味なじみが良くなったりするので、野菜によってはそれがメリットになります。トマトや大根がそれにあたります。

トマト

トマト、ミニトマトを余分に買ってしまったり、柔らかくなりすぎた時には、冷凍しましょう。トマトはそれに向いている野菜です。

ミニトマトならヘタをとって、そのままジップ式の袋に入れて冷凍します。また普通のトマトは、ヘタを取って丸ごと冷凍します。半分から4つ割にして、切り口を少しずらして丸くし戻し、一つずつ包むと、冷凍も、解凍も早くなります。切って冷凍する場合は、6等分程度のくし切りを半分に切り1個分ずつラップで平らに包みます。トマトの場合は小さく切りすぎないのがコツです。

いずれも、冷凍・解凍することで、種の周りのゼリー質の旨味の部分の組織が破壊されて一体化し、旨味やとろみを濃く感じます。また丸ごとやミニトマトは解凍する際に、さっと水にくぐらせるだけで皮がむけるのも利点。ミニトマトは水につけて皮をむいた後に、合わせ酢やドレッシングに漬けるとすぐに解凍されて味が漬かり、とろっとしてマリネの一品になります。

丸ごとの冷凍トマトの場合は、解凍するのに少し時間がかかります。20分ほど室温に戻してから、おろし金ですり下ろすか、フードプロセッサにかけるとシャーベット状になり、砂糖を加えるとスイーツに。ポン酢やドレッシング、塩を絡めると、冷たいたれやソースになります。

また、トマトの水煮缶の代わりに、トマト煮などの料理やスープ、鍋物など、具材としてだけでなく、旨味を追加する感覚で料理に使え、解凍による果肉の一体感がなめらかな食感、旨味を感じさせます。小鍋に入れて冷凍トマトと塩・少量のオリーブオイルをただ煮詰めるだけのトマトソースもシンプルで自然な味わいです。

キャベツ

キャベツも冷凍できます。丸のままではなく切ってから冷凍します。

おすすめの冷凍用サイズは、5cm角と、5㎜幅程度の細切りです。早く冷凍解凍されるように、切ってからジップ式の袋に入れ、広げて平らにし、抜きすぎない程度に空気を軽く抜きます。冷凍してしっかり固まったら、立てて保存します。使う時は、そのまま必要な分だけ取り出します。取り出す際は手早くしましょう。

野菜炒めならそのままフライパンに入れて生の時と同じように炒めます。コールスローなどのサラダは、そのまま解凍するとしんなりして、塩もみやさっと茹でたような状態になります。そこで軽く水気をしぼってマヨネーズやたれと和えると手早く一品になります。スープや味噌汁の具にする場合は、冷凍のまま加えます。水分の少ない芯の部分は、冷凍解凍により、甘味も増すので、生では食べにくい部分も、無駄なくたっぷり使えます。

ほうれん草(小松菜)

小松菜やホウレン草も冷凍できます。根がついていると、冷凍解凍に時間がかかるので、根の部分は落として洗います。十分に水気を切ってから5~6cmくらいの長さに切り、バラバラにして、キャベツと同様に、ジップ式の袋に入れます。

炒め物ならそのまま使い、そのままで熱湯をかけるだけでも、ゆでたようにすぐに火が通ります。また、解凍して軽く水気を切り、醤油をかけるだけでお浸しになります。取り出して少し解凍されたら、端から刻んでいくと切りやすく、玉ねぎのみじん切りの代わりに使えたりします。冷たいまま挽肉だねに加えると、ジューシーな仕上がりになり、ヘルシーにいただけます。

大根

大根は水分が多いので、冷凍解凍によって水分が抜けて繊維が柔らかくなり、下茹でしたような感じに解凍されます。その際は、皮をむいて3~4mm厚さのいちょう切りに。半月なら2cm程度の厚さにするのが使いやすいサイズです。
使いそうな分をまとめてラップに包み、ジップ式の袋に入れて冷凍します。解凍方法は、電子レンジでも、自然解凍でも。下茹でした感じになるのでそのまま煮汁に入れて大丈夫です。短い時間で味がよくなじんで柔らかくなります。

より手軽に使う例として
レシピをご紹介

(1)レンチンふろふき大根

(材料)2人分

冷凍大根(2cm半月):4個(約200g)
A麺つゆ(2~3倍希釈):大さじ3
 水:1/2カップ
B味噌:大さじ2
 砂糖:小さじ1
 煮汁:大さじ1

(作り方)

① 耐熱皿に冷凍大根を並べ、混ぜたAをふりかけ、ふんわりラップをして電子レンジに10分かける。
② Bをよく混ぜる。
③ ①を汁ごと盛り、Bをかける。

(2)大根のバター醤油煮

(材料)

冷凍大根(5mmいちょう):200g
A醤油:大さじ1
 バター:10g
 水:1/2カップ
胡椒少々

(作り方)

① 小鍋に冷凍大根を入れ、Aをふりかけ、ふたをして中火にかけ煮立ったら火を止め、胡椒をふる。

(3)ゆかり大根

(材料)

冷凍大根(5mmいちょう切り):100g
ゆかり:小さじ1/2
砂糖:小さじ1/2

(作り方)

① 冷凍大根にゆかり・砂糖を加え混ぜて解凍するまでおく。