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(9)恵方とは

その年の幸福を司る神様を「年神」とか「歳徳神」といいまして、その神様は元日の朝に、各家庭へとやってきます。
年神様は年ごとに決まった方角の神社にいるとされ、一家の主人は年神様を迎えに行かねばなりません。
その方角を「恵方」と呼び、その年で、最も縁起がよい方角であります。のちには主人だけでなく、家族もその神社へお参りに行くようになりました。これを「恵方詣で」といいます。
「恵方」はその年の干支の干、つまり十二支の前に着く「甲」とか「丙」とか「癸」とかいう十干に関するものでして、だいたい東、西、南、北の4方向にわかれています。例えば令和5年の干支は「癸卯(みずのとう)」ですから、十干は「癸」。この年の恵方は「南南東のやや南」の方角となります。 


節分とは季節の分かれ目の日。2月の節分は冬から春に移る日で、元日のことでもあります。ですからこの日にも「恵方」にまつわる行事がおこなわれるのです。

日比野 光敏(ひびの てるとし)
1960年岐阜県大垣市に生まれる。名古屋大学文学部卒業、名古屋大学大学院文学研究科修了後、岐阜市歴史博物館学芸員、名古屋経済大学短期大学部教授、京都府立大学和食文化研究センター特任教授を歴任。すしミュージアム(静岡市)名誉館長、愛知淑徳大学教授

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