
「すし」と読む漢字といえば何があるだろうか? それに答えるには、まず漢字の意味からお話せねばなるまい。
漢字とは中国で発明された表語文字(1文字1文字に意味がある文字)である。それによると、「すし」の漢字表記は「鮨」か「鮓」となる。どちらも「魚ヘン」がついているから、これらが魚名または魚の加工品であることくらいは想像がつく。
これに対し「寿司」は漢字ではない。たしかに「寿」も「司」も漢字のようであるが、中国の人に「寿」や「司」に食べ物の意味があるかと聞けば、首をひねるであろう。「寿司」は魚料理のひとつ、などと知っている人は、相当の日本通である。これらは単に「すし」と発音できる文字を並べただけで、標語文字とは違う。いわば漢字ならぬ「和字」なのである。
さて「すし」を表わす漢字は「鮨」と「鮓」があるが、これも正確にいうと違う。それは「歴史」のコーナーで述べているので参照されたい。早い話が、「鮨」と「鮓」は本来は別物を表すものであったのだが、それがごちゃ混ぜになって、どちらも「すし」を表わす漢字となってしまった。それから日本に、文字が伝わった。ゆえに、「鮨」も「鮓」も混同されたままで、文字が伝わってしまったのである。
一方、「寿司」はまったくの当て字。江戸時代も中期以降、盛んに用いられた。漢字そのものの意味はどうでもよく、とにかく「スシ」と発音できればいい。だから「ス」には「須」「酢」、「シ」には「志」「之」、挙句には「し」など、いろいろ書かれた。中でもなんとなくめでたそうな「寿司」が採用されたのである。すしはめでたい時には欠かせないという印象もあって「寿を司る」なんていわれるが、後付けの説明なのである。
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