2023年度 ミツカングループ決算概要について

企業 2024年6月3日

ミツカングループの2023年度(2023年3月~2024年2月)決算概要は以下のとおりです。


ミツカングループ


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区分 業績 前年度比 (2022年度金額)
売上高 3,001億円 111.2%
2,700億円
経常利益
   120億円 258.8%     46億円
償却前営業利益(EBITDA)
   343億円 139.1%
  246億円

【グループ増収の主要因】 北米事業・欧州事業における増収(特に北米事業)

【グループ増益の主要因】 3エリアとも増収で、グループ計で過去最高売上を更新


エリア別


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区分 業績 前年度比 (2022年度金額)
日本+アジア事業売上高 1,169億円 103.9% 1,125億円
北米事業売上高 1,607億円 114.8 % 1,400億円
欧州事業売上高   224億円 128.2%

  175億円

【日本+アジア事業増収の主要因】 納豆の売上増

【北米事業増収の主要因】 パスタソース事業 及び 食酢を中心とした調味料事業の売上増

【欧州事業増収の主要因】 日本食業務用事業 及び 主力ブランド品の売上増


国内セグメント別


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区分 業績 前年度比 (2022年度金額)
家庭用売上高 913億円 102.8% 888億円
食酢

238億円

 99.1% 240億円
ぽん酢 131億円  95.6% 137億円
つゆ・
鍋つゆ
187億円

102.4%

183億円
納豆 282億円 111.5% 253億円
業務用売上高 210億円

105.5%

199億円



 2023年度のミツカングループ合計売上高は、前年から11.2%増の3,001億円となり、グループ売上高としては2022年度から2年連続の増収で、過去最高となりました。また、経常利益は前年から158.8%増(前年比258.8%)の120億円、2020年度以来3年ぶりの増益で、償却前営業利益(EBITDA)は前年から39.1%増の343億円となり、増収増益となりました。

 

 エリア別の業績概況ですが、3エリアすべてで増収となり、日本+アジア事業は前年から3.9%増の1,169億円、北米事業は14.8%増の1,607億円、欧州事業は28.2%増の224億円となりました。北米事業、欧州事業については、為替の影響を除いても増収です。


特に、北米事業は、パスタソース事業、食酢を中心とした調味料事業ともに好調に推移し、過去最高売上を更新して、グループ全体の業績を牽引しました。


   2023年度は、世界を取り巻くインフレ環境の影響で、3エリアともにインフレによる原材料やエネルギー価格の上昇分を吸収すべく、価格改定を行いました。原材料価格は総じて高止まりの状況であり、日本ではインフレ基調が続く中で生活者の購買力への影響も出ていると想定されます。また、健康志向や簡便重視の傾向は続いている一方、コロナ禍後の社会経済活動の正常化・行動様式の変化に伴い、外食ニーズの高まりや調理機会の減少傾向の状況もあり、内食、中食、外食それぞれの食に対するニーズとソリューションの多様化が進んでいます。そのような中、生活者の行動様式や変化に即した施策を実行してまいりました。

海外売上高比率(グループ合計売上高に占める北米、欧州、アジアの売上)は61.5%となりました。


 今期から始まる新中期経営計画(2024~2028年度)に向けて、ミツカングループの企業理念である「買う身になって まごころこめて よい品を」、「脚下照顧に基づく現状否認の実行」という2つの原点は守りつつ、新たにミッション・ビジョン・バリューを設定し、ミツカングループが大切に考えていることを社内外にわかりやすくお伝えしていきます。ミッションは「やがて、いのちに変わるもの。」、ビジョンは「未来ビジョン宣言2024」、バリューは「ともに」と設定いたしました。

 また、新中期経営計画では、事業成長に向けて3つの領域で事業の強化とイノベーションの創出を図ってまいります。具体的には、①お酢を軸としたグローバルでの成長、②自然の力と素材を最大限に活用した、より健康的な食の開拓、③和のエッセンス(日本食)を取り入れ、世界に新しい食を届ける の3つの領域です。

2024年度は新中期経営計画の第一歩の年となりますが、ミツカングループが大切にしている考え方や、これまで築き上げた事業の強みを活かしつつ、新たなミッション・ビジョン・バリューや3つの成長領域に積極的に取り組み、5年間の成長の足掛かりとなるように各エリアで着実に取り組んでまいります。


3.各事業の概況


<日本+アジア事業>

 2023年度の日本+アジア事業の売上高は、前年から3.9%増の1,169億円で、2020年度以来3年ぶりの増収となりました。家庭用売上高は、前年度比2.8%増の913億円となり、業務用売上高は前年度比5.5%増の210億円となりました。

家庭用売上高においては、「納豆」が主力品のプロモーションにより、大きく売り伸ばすことができました。「金のつぶ パキッ!とたれ とろっ豆」においては、ごはんとの相性抜群の「とろっ」とした食感や、「パキッ!と容器」の簡便性や楽しさ、といった商品価値をTVCMなどで再訴求することで販売数量も伸ばすことができました。また、「金のつぶ  たれたっぷり! たまご醤油たれ」についても、発売10周年プロモーションなどのブランド強化施策が奏功し、「納豆」が日本+アジア事業の増収を牽引しました。


家庭用全体の取り組みとしては、調味料離れに対するコミュニケーション施策として、引き続き、食酢の健康機能を訴求するほか、個食・簡便ニーズへの対応等を実施いたしました。また、商品施策として、主力商品のカンタン酢や味ぽんは容量帯の拡充を行うなど、生活者のニーズに合わせた品揃えの強化を図りました。また、原材料価格高騰、インフレ対応として、ぽん酢や鍋つゆなど、2022年度に価格改定を行っていないカテゴリの商品について、価格改定を行いました。



「食酢」については、りんご酢の健康情報の拡大により飲用用途が広がり、また、調理用途においても、更なる新規顧客の拡大も視野に、インフルエンサーや格闘家とのコラボなど、SNSを活用した新しいデジタル施策などを実施した結果、男性や若年女性などお客様層の間口も広がっており、売上はほぼ前年並みを維持しております。

 

「ぽん酢」については、2023年3月に価格改定を行ったため、価格改定後は一時的に販売数量が落ち込みましたが、主力品である味ぽんの容量帯を拡充し、また、360mlサイズをペットボトル容器へ切り替えるなどの施策を行い、下期は売上が回復傾向となっています。

 

「つゆ」については、主力品の「追いがつおつゆ2倍」の販売が好調でした。「追いがつおつゆ」ブランドが大切にしている「かつおだしの効き」にこだわり、5年ぶりに中身品質とデザインのリニューアルを行い、更なるおいしさを追求しました。

 

業務用売上高は、新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、外食機会や観光客増を背景に市場全体の回復も後押しとなっております。その結果、コロナ禍による落ち込みから回復し、日本+アジア事業全体の増収に貢献しました。特に、すし酢、食酢、ぽん酢、つゆなど主力品が大きく売上拡大しています。


 2024年度につきましては、今後の新しい成長の芽として、新ブランド「Fibee(ファイビー)」を立ち上げ、3月よりテスト販売を開始しております。おいしく健康的な食生活の実現を目指し、“発酵性食物繊維”に着目した「Fibee(ファイビー)」は、ワッフルやカレー、飲料など全8種類の豊富なラインナップで、継続的に食生活に取り入れていただけます。

 

 また、2023年度に引き続き、「食の楽しさ(エンターテインメント)」を提供していく施策に取り組んでまいります。今後想定される調理離れやそれに伴う即食・簡便といった方向の中で、商品やメニューを認知・想起する段階から楽しさが伝わり、体験ができると思ってもらえるように、生活者とのコミュニケーション手法を大きく変化させていきます。具体的な取り組みとしては、「インフルエンサーや他企業とのコラボによる新たなコト体験の提案」「SNSなどデジタル施策の活用による新たなユーザーへの情報提供」「これまでにない商品の使い方提案による需要創出」「食酢の機能性表示食品による新たな食シーンや需要の創出」などに取り組んでまいります。



<北米事業>

 2023年度の北米事業の売上高は、前年から14.8%増の1,607億円で、2022年度から2年連続の増収となりました。

北米事業においては、前中期経営計画の5年間において、事業基盤の強化と事業の拡大を着実に進めた結果、パスタソース事業・食酢を中心とした調味料事業とも売上は伸長してきております。

パスタソース事業については、2021年度より、段階的に価格改定を行ってきました。市場環境を見極めながら、効果的に販売促進策を投下したことで、販売数量を落とすことなく、売上拡大に貢献しました。

食酢を中心とした調味料事業においても、価格改定政策が奏功し、販売数量を落とすことなく売上増となりました。また、クリーニング用途などでホワイトビネガーの需要が伸び、売上拡大に寄与しました。


 2024年度につきましては、パスタソース事業は高価格帯の競合商品の成長などの市場環境の変化に対応すべく、顧客や商品ミックスの販売政策を実行してまいります。また、食酢を中心とした調味料事業においては、幅広い使用用途によるホワイトビネガーの強い需要を活かし、今後も売上維持、拡大を図っていく予定です。



<欧州事業>

 2023年度の欧州事業の売上高は、前年から28.2%増の224億円で、2021年度から3年連続の増収となりました。

日本食の市場成長を背景に、日本食業務用事業が大きく伸長しました。また、スイートピクルスの「Branston(ブランストン)」、食酢の「SARSON‘S(サーソンズ)」、日本食業務用商品など、主力品の価格改定を行いましたが、トータルで売上を伸ばすことができ、増収となりました。


 2024年度につきましては、大きく伸長している日本食業務用事業を積極的に拡売していきます。欧州事業の本社エリアである英国はもちろん、2023年度に本格稼働したミツカンアムステルダム(オランダ)を日本食業務用事業の営業拠点として欧州全域に積極的に拡売していく予定です。
 また、英国国内のブランドビジネスとしては、主力ブランドの「SARSON‘S(サーソンズ)」の230周年プロモーションを通じ、再認知・新規顧客獲得を目指していきます。2023年11月より一部小売店にて先行発売した新商品を2024年4月より販売チェーンを広げ、拡売に取り組んでまいります。新商品発売後の調査では、若年世代の評価が高く、ポテンシャルがあると想定しております。



<ZENB事業>

 「ZENB」は、植物を可能な限りまるごと使い、おいしくてカラダにいい、「人と社会と地球の健康」に貢献する、ウェルビーイングな食生活を提案するブランドです。

 

 2023年度は、これまで以上に幅広いお客様にZENBブランドを知っていただき、購入していただくために、自社専用サイトなどのD to Cチャネル以外も加えたオムニチャネル戦略に取り組んでまいりました。

具体的には、一部、小売店やフードサービスへの展開や、東京・名古屋・大阪でのポップアップストアの出店、TVCMの投下といった施策を行い、認知度のアップを図りました。TVCM投下エリアである京浜エリアでは認知率が13%を超えるなど、ZENBブランドの認知拡大につながっています。また、Amazon、楽天市場などのECモールでのセールや効果的な広告投下も行い、自社専用サイト以外の購買チャネルでの売上も拡大しております。


商品政策としましては、お客様の生活の中でより多くのZENBブランドを手に取っていただけるよう、スナック型のZENBチップス、利便性を高めたZENBラーメン等に続き、2023年11月に小麦粉ではなく豆の粉から作ったZENBブレッドを発売し、ご好評をいただいております。ブレッドのような喫食頻度の高い商品を発売したこと、また、ECサイトにおいてお客様の使いやすさを改善したことにより、新規定期購入者およびお客様一回当たりの平均注文額も増加傾向にあります。今後も、幅広いお客様へのリーチ 及び お客様に様々な商品の提供に積極的に取り組んでまいります。


 2024年度においては、効果的な広告投下、新製品の投入により、自社のD to C サイトに加え、AmazonなどのECモールでの拡売や、小売店での販売など、購買の接点を広げることで、引き続き、新規のお客様の獲得を目指してまいります。

  また、ポップアップストアやファンイベントなど、リアルなシーンでのお客様との共創をより積極的に推進し、ZENBブランドの価値をより高めるプランを進めていく予定です。


 

 ミツカングループは、愛知県半田市で1804年に創業し、2024年に220周年を迎えました。企業理念である2つの原点「買う身になって まごころこめて よい品を」「脚下照顧に基づく現状否認の実行」のもと、2024年度の中期経営計画から、ミッションに「やがて、いのちに変わるもの。」、ビジョンに「未来ビジョン宣言2024」、バリューに「ともに」を掲げています。

 今後も、あらゆるステークホルダーの皆様とともに、100年先も「やがて、いのちに変わるもの。」を育む、変革と挑戦の企業であり続けることができる取り組みを推進してまいります。