コロナ禍で注目された「共食(きょうしょく)」 、「共食」がなくてはコミュニケーションも始まらない!? 最も会話をしているのは一緒に食事をする時

~【第一回にっぽん食調査】「共食」「旬」「簡便性」の観点から見た食生活意識調査~

企業 2024年1月31日

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ミツカングループ(愛知県半田市、以下ミツカン)と、日本女子大学(東京都文京区)は、若者から見た“これからの日本の食”をテーマに、共同で研究を行う共創プロジェクト「にっぽん食プロジェクト」を2022年度より開始しました。

昨年度、「にっぽん食プロジェクト」では5つの概念※1(持続可能な食・おいしくて健康的な食・“共食”を通じてコミュニケーションを生む食・日本らしさをいかした食・味覚をはぐくむ食)を定めました。

今年度は、この5つの概念のうち、事前のインタビュー調査の中で関心の高かった「共食」にフォーカスを当て、本プロジェクト担当・日本女子大学家政学部食物学科 飯田文子教授監修のもと、ミツカンが主体となり、アンケート調査を実施しました。


「共食」※2は、共働き世帯の増加に伴う食卓スタイルの変化や、コロナ禍での孤食の増加などで注目され、農林水産省においても、共食の機会の増加を目標として挙げています※3。

本調査では、我々の考える”にっぽん食”の概念の一つでもある「共食」が、周りの人とのコミュニケーションにおいて、どのような役割を果たしているのか、「共食」の重要性を明らかにするとともに、この「共食」という言葉がまだ広く一般的なものになってはいないものの、どのような食シーンを「共食」と捉えられるのかについても、調査しました。また、事前インタビュー調査で、「共食」とともに関心の高かった「旬」、「簡便性」についても併せて調査しました。

調査の中で見えてきたのが、食卓関与度※4と「共食」を含む、食習慣や食意識との関連性です。食卓関与度が高いほど、「共食」時のコミュニケーションを楽しんでいる人が多く、また、旬の食材を味わう楽しみを感じている人も多い結果でした。


※1: ”にっぽん食”の5つの概念について(2023年3月7日配信のリリース)

※2: 「共食」・・・みんなで一緒に食卓を囲んで、共に食べること(農林水産省HP参照)

※3: 農林水産省第4次食育推進基本計画より

※4: 食卓関与度・・・幼少期における食事の手伝い頻度

本調査では、幼少期(12歳頃まで)に食事に関する手伝い(食材を洗う、切る、盛り付けるなどの調理、食卓の準備・片付けなど)をしていたかどうかの頻度を調査しており、本リリースでは、それを「食卓関与度」と表現しています。




◆本調査の結果サマリー

1.共食とコミュニケーションの関係

①     共食の機会は雑談やプライベートな会話において最も重要な場!

  雑談やプライベートな会話をするシーン1位は食事時、2位は会話をしない、3位は休憩時

②     共食は家族や同居しているパートナーと家(家庭)での食事で生まれている

③  共食の機会を生み出すには、食卓関与度が影響している!?


2. 食卓関与度幼少期における食事の手伝い頻度)別で見る、食意識や食の実践行動

①     食卓関与度が高いほど、食事の際に雑談やプライベートでの会話をしている場合が多い

②     「献立を考える」「後片付け」は料理工程に入る?

   食卓関与度により、料理工程に含まれると考える作業に差があることが判明

 「献立を考える」「後片付け」は、「調理する」ことよりも負担になっていることが明らかに

   このイメージギャップが、“料理工程の見えない負担”の差となっている可能性

③     食卓関与度が高いほど、旬の食べ物への感度が高い

  旬の食べ物はわくわくさせる!旬の食材を食べることは食の楽しさにも繋がる大きな要因!  


◆本調査の概要 

調査期間:2023年11月2日(木)〜11月6日(月) 

調査対象:全国20代~50代男女 

調査人数:400名(各年代で男性50名、女性50名) 

調査方法:インターネット調査 

調査主体:ミツカングループ 



 1. 共食とコミュニケーションの関係

① 共食の機会は雑談やプライベートな会話において最も重要な場!

 雑談やプライベートな会話をするシーン1位は食事時、2位は会話をしない、3位は休憩時

家族や友人など周囲の人と、雑談やプライベートな会話(仕事以外)をするのはどのタイミングか調査したところ、1位は「食事をしているとき(28.5%)」となり、2位は「雑談やプライベートな会話はしない(24.0%)」、3位は「休憩をしているとき(23.5%)」という結果になりました。食事を共にする(共食)のは、雑談やプライベートな会話をする最も重要な場だということがわかりました。積極的に食事を共にする(共食)時間を取ることで、コミュニケーションを目的とした時間を取りづらい現代人にも、コミュニケーションの機会が増えていくと考えます。


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② 共食は家族や同居しているパートナーと家(家庭)での食事で生まれている

「共食」と聞いて、思い浮かぶ場面を調査したところ、1位は「家族と家庭で食事する(44.8%)」、2位は「思い浮かぶ場面はない(39.8%)」3位は「配偶者、同居のパートナーと2人で家庭で食事をする(33.5%)」という結果になりました。この結果から、「共食」という言葉はまだあまり知られていないものの、「家族や同居しているパートナーとの家での食事」が「共食」であると多くの人に捉えられていることがわかりました。


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③ 共食の機会を生み出すには、食卓関与度が影響している!?

上記の調査結果を食卓関与度別に比較したところ、食卓関与度が高い層ほど、思い浮かぶ場面の選択数が多く、1位の「家族と家庭で食事をする」を選択したのは、食卓関与度が高い層が59.1%、食卓関与度が低い層で37.7%という結果でした。尚、2位の共食と聞いて「思い浮かぶ場面はない」という回答については、食卓関与度が高い層は25.8%しか選択していない一方、食卓関与度が低い層は、50.7%も選択しており、両者では「共食」へのイメージや理解がかなり異なることがわかりました。


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 2. 食卓関与度別で見る、食意識や食の実践行動

① 食卓関与度が高いほど、食事の際に雑談やプライベートでの会話をしている場合が多い

日頃の会話シーンについて調査したところ、食卓関与度が高い層と低い層をそれぞれで比較すると、1位の「食事をしているとき」と回答した割合は、食卓関与度が高い層は34.8%、食卓関与度が低い層は21.7%という結果になりました。一方で、「雑談やプライベートな会話はしない」は、食卓関与度が高い層は18.2%、食卓関与度が低い層は31.9%という結果になりました。


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② 「献立を考える」「後片付け」は料理工程に入る?

  食卓関与度により、料理工程に含まれると考える作業に差があることが判明

「料理をする」際、その工程に含まれると思う作業について調査したところ、「献立やメニューを考える」が含まれると回答した割合は、食卓関与度が高い層が75.8%、食卓関与度が低い層は59.4%となりました。そのほかに、「後片付けや洗い物をする」は含まれると回答した割合は、食卓関与度が高い層は65.2%、低い層は55.1%となり、食卓関与度は、料理工程に対する意識についても影響していることがわかる結果となりました。


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「献立を考える」「後片付け」は、「調理する」ことよりも負担になっていることが明らかに

このイメージギャップが、“料理工程の見えない負担”の差となっている可能性

省きたい・簡単にしたい作業について調査したところ、1位は「後片付けや洗い物をする(46.0%)」、2位は「献立やメニューを考える(38.8%)」となり、多くの人が料理工程の中で「献立を考える」と「後片付け」を負担に思っていることが判明しました。料理工程に含まれる作業と併せてみると、食卓関与度の低い層が、料理の範囲と考えていない「献立を考える」、「後片付け」が、実際には「調理する」こと以上に負担となっており、このイメージギャップが、“料理工程の見えない負担”となっている可能性があるとわかりました。料理における簡便性は、「調理する」ことの簡便さだけでなく、「献立を考える」「後片付け」の簡便さを意識することが重要であると考えます。


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③ 食卓関与度が高いほど、旬の食べ物への感度が高い

   旬の食べ物はわくわくさせる!旬の食材を食べることは食の楽しさにも繋がる大きな要因!

「旬の食べ物」を積極的に食べたいと思う理由を調査したところ、食卓関与度が高い層は、「食べ物で季節を感じたい(51.5%)」、「普段より美味しく感じる(50.0%)」、「わくわくする(30.3%)」と、旬の食べ物への感度が高く、食卓関与度が影響していることがわかりました。季節を感じながら、食のおいしさ、楽しさを実現するために、普段の食事に旬の食材を取り入れることは大切であると考えます。


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◆日本女子大学 家政学部食物学科 教授 飯田 文子

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昨年度の日本女子大学での調査結果を受けて、今年度はミツカングループによるインタビュー調査により食意識を深掘りし、「共食」の意識を明らかにしました。その結果、特に食卓関与度が低い方々も食に関するwell-beingが向上し、より健康的で快活な食生活が送れるようにすることが次世代にも繋がる課題と感じました。“にっぽん食”を提案するうえで、おいしくて健康的な食でありつつ、たのしさを兼ね備えた共食の機会を増やすきっかけとなる料理を提案していきたいと思います。

<プロフィール>

日本女子大学家政学部食物学科教授、博士(応用生命科学)。専門は調理学と食味評価学。

日本官能評価学会前会長、日本調理科学会監事、名誉フードスペシャリスト