2022年度 ミツカングループ決算概要について

企業 2023年6月5日

ミツカングループの2022年度(2022年3月~2023年2月)決算概要は以下のとおりです。


ミツカングループ*


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区分 業績 前年度比 (2021年度金額)
売上高 2,700億円 114.7%
2,355億円
経常利益
46億円 64.4% 72億円
償却前営業利益(EBITDA)
246億円 105.0%
234億円


エリア別


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区分 業績 前年度比 (2021年度金額)
日本+アジア事業売上高* 1,125億円 95.0% 1,183億円
北米事業売上高 1,400億円 137.5 % 1,018億円
欧州事業売上高 175億円 114.7%

152億円


国内セグメント別*


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区分 業績 前年度比 (2021年度金額)
家庭用売上高 888億円 92.4% 961億円
食酢

240億円

90.6% 265億円
ぽん酢 137億円 91.8% 149億円
つゆ・
鍋つゆ
183億円

95.3%

192億円
納豆 253億円 94.4% 268億円
業務用売上高 199億円

102.7%

194億円

* 国内売上高については、2022年度より「収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号2020年3月31日)」を適用。リベート等の顧客に支払われる対価について、従来、販売費および一般管理費として処理していたものを売上高から控除。(2021年度については旧基準の金額で記載)



 2022年度のミツカングループ合計売上高は、前年から14.7%増の2,700億円となりました。

経常利益は前年から35.6%減の46億円、償却前営業利益(EBITDA)は前年から5.0%増の246億円となりました。

 

 エリア別の業績概況ですが、日本+アジア事業は前年から5.0%減の1,125億円、北米事業は37.5%増の1,400億円、欧州事業は14.7%増の175億円となりました。

価格改定などインフレ対応をすすめ、北米事業、欧州事業の売上高は前年を上回りましたが、日本+アジア事業は前年に及びませんでした。

 

 新型コロナウイルス感染拡大から3年が経過し、長引くインフレやウクライナ情勢の長期化による原材料費、エネルギーコスト増の影響を受け、収益構造も大きく変化しました。

グループでインフレ対応をすすめましたが、償却前営業利益(EBITDA)は増益、経常利益は減益となりました。

北米事業、欧州事業は現地通貨ベースでも前年を上回り、為替の影響で海外売上高比率(グループ合計売上高に占める北米、欧州、アジアの売上)は58.8%となりました。


 2023年度は「ミツカン未来ビジョン宣言」の折り返しの年であり、グループ創業220年目の節目の年でもあります。

本年度も世界経済は金融の引き締め、インフレの継続・深刻化、ウクライナ情勢の長期化など様々な景気押し下げリスクなど、先行きが不透明な状況が継続しており、事業をとりまく環境は予断を許さない状況にあります。

 

 グループとしては現在、2024年度からスタートする次期中期経営計画を策定中です。激しい環境変化の中でも「未来ビジョン宣言」の実現に向けて持続的な成長を実現するための戦略と目標を策定してまいります。

2023年度は2024年度からスタートする次期中期経営計画の実行を確実なものとするための基盤を構築してまいります。

ERPシステムの更新による基盤整備と業務効率化、インフレやコスト高への対応、各エリア主要ブランドの活性化、日本食の海外展開などに取り組んでまいります。



3.各事業の概況


<日本+アジア事業>

 2022年度の日本+アジア事業の売上高は、前年から5.0%減の1,125億円となりました。

業務用売上高は前年を上回りましたが、家庭用売上高は内食機会の減少、調理離れによる主力の調味料セグメントで目論見通り売り伸ばすことができず、日本+アジア事業では減収となりました。

家庭用売上高は前年から7.6%減の888億円となりました。

業務用売上高は新型コロナウイルス感染拡大前の2019年度水準まで回復はしておりませんが、前年から2.7%増の199億円となりました。


 新型コロナウイルス感染拡大前から継続的なトレンドであった内食、家庭内調理機会の減少傾向が加速し、感染症拡大防止の行動制約の緩和による外出、外食機会の回復で「簡便・即食」のニーズが以前より更に高まり、これらの変化に適切に対応できず、減収となりました。

原材料価格高騰、インフレ対応として、2022年の6月に食酢、9月に納豆、11月に食酢飲料、たれカテゴリーについて価格改定を実施いたしましたが、需要回復までの期間が目論見より時間を要したことも影響しました。

 

 2023年度は、感染症拡大防止の規制緩和から生活者の活動の回復が想定される一方で、インフレの深刻化など、生活者の購買行動は新型コロナウイルス感染拡大前とは大きく変わってくると思われます。

「健康」や「美容」、「環境」への関心は継続していくと思われますが、生活全般においてコストパフォーマンスやタイムパフォーマンスが重視されると思われます。

これらの生活者のニーズを踏まえ、主力セグメントについては以下の取り組みを強化、推進してまいります。

 

食酢につきましては、「お酢の3つの健康効果」をトリプルパワーキャンペーンとして展開し、様々なメディアを活用し、生活者との接点を増やし話題化していくことで、食酢の3つの機能(「肥満気味の方の内臓脂肪減少」「食後血糖値の上昇抑制」「高めの血圧低下」)の認知拡大を推進し、食酢の価値を高めてまいります。

 

調味料につきましては、「旬ごちプロジェクト」を立ち上げ、生産者や行政、地元メディアと共に、地域の生産者、生活者に寄り添った各地域の旬野菜の提案を行い、需要拡大を図ってまいります。

また、調味料を目分量で計って、簡単に、おいしく、楽しく作れる「レシピレスレシピ」の提案を公式SNSにて提案を強化していきます。

 

つゆ・鍋つゆにつきましては、「大好きだし。麺と鍋。」シリーズという新商品の投入と「追いがつおつゆ」シリーズのリニューアルを柱に、「そうめん革命」と称し、食べ飽きないそうめんメニューの提案を推進してまいります。

 

納豆につきましては、今年7月に16周年を迎えます「金のつぶ パキッ!とたれ とろっ豆(発売当時商品名:金のつぶ 超やわらか納豆とろっ豆)」の魅力をしっかり訴求して、ブランド価値を高める取り組みを進めます。

約10年ぶりとなるTVコマーシャルを全国で投下し、この商品がもつ「ふわっ、とろっ」とした食感とごはんとの相性抜群のおいしさ、たれを簡単に入れられ、ごみも少ない簡便性、パキっと割る楽しさ、など「パキっと容器」の魅力を改めて訴求し、納豆市場の活性化に取り組んでまいります。

 

 また、3月には株式会社Mizkanと株式会社ZENB JAPANのノウハウを融合させ、ZENBのECサイトのプラットフォームを活用した、ミツカン公式通販のECサイトをオープンいたしました。

このECサイトでは、ここでしか買えない商品や、ギフト対応商品、ZENBブランドとのコラボ商品、お得な定期サービスなども販売し、利用者に今までにない購買体験を提供し、生活者とのダイレクトな接点を構築してまいります。



<北米事業>

 2022年度の北米事業の売上高は、前年から37.5%増の1,400億円となりました。

パスタソース事業、食酢を中心とした調味料事業ともにインフレ対応の価格改定をすすめ、いずれも増収となりました。

為替による影響もありますが、いずれも現地通貨ベースで前年を上回る増収となりました。

 2023年度はインフレの傾向はピークアウトの兆しがあるものの、引き続き厳しい状況は継続すると予測されます。パスタソース事業、食酢を中心とした調味料事業ともに既存ブランドの活性化に注力してまいります。

特にパスタソース事業は高単価商品、低単価商品ともに需要があることから、幅広い価格帯の商品群をもつ強みを活かし、かつ、高価格帯の新商品やリニューアルを行い、小売店の戦略に応じた提案をすすめてまいります。

食酢を中心とした調味料事業についても、堅調に成長する日本食関連の新商品の配荷などの取り組みを強化してまいります。



<欧州事業>

 2022年度の欧州事業の売上高は、前年から14.7%増の175億円となりました。

スィートピクルスの「Branston(ブランストン)」や食酢の「SARSON’S(サーソンズ)」といった家庭用の主力ブランドや、日本食を中心とした業務用事業について価格改定をすすめ、増収となりました。

日本食を中心とした業務用事業は、ウクライナ情勢の先行きが見通せない中でロシアへの出荷停止影響がありましたが、その影響を除けば数量の落ち込みもなく、現地通貨ベースでも増収となりました。

 2023年度もインフレはピークアウトしておらず、継続的にインフレ対応をしつつ、「Branston」「SARSON’S」の新商品を投下し、若い世代への拡売を図るとともに、製造コスト、オペレーションの効率化で収益性を強化していきます。

また、日本食を中心とした業務用事業では新しいチャネルへの取り組みを強化し、売上拡大を狙ってまいります。



<ZENB事業>

 「ZENB」は、植物を可能な限りまるごと使い、おいしくてカラダにいい、「人と社会と地球の健康」に貢献する、ウェルビーイングな食生活を提案するブランドです。

 

 2022年度は「ZENBは知ってはいるけど食べたことはない」というお客様にZENBの食体験を提供する機会をリアルで提供してまいりました。

ZENBヌードルを使った「罪なき屋台」の展開や、ZENBマメロニを使った「DEAN&DELUCA」でのお弁当の提供、また、宅配冷凍弁当サービスの「筋肉食堂DELI」で高たんぱくパスタの麺として採用されるなど、お客様との接点が広がっております。

5月に「ZENBヌードル」の第2弾として発売した細麺タイプも好評で、ZENBヌードルの累計販売数は1,000万食を突破いたしました。

8月には黄えんどう豆を使った新しい主食をもっといろいろなシーンで楽しんでもらうために、レンジで簡単に加熱調理ができ、朝食にぴったりな「ZENBミール」を発売し、こちらも好評を得ております。

購買チャネルも、Amazon、楽天市場などのECモールでの販売を実施し、自社専用サイト以外での購買チャネルへも広げてまいりました。


また、スペインのサッカーチームFCバルセロナと「グルテンフリーフードパートナー」としてパートナーシップの契約を締結するなど新しい取り組みも推進してまいりました。

 

これまで自社ECサイトを通じて、お客様と直接つながるモデルを作りあげてきたことにより、ZENBのECサイトの利用者も累計で30万人を超え、認知率も約10%(当社調べ)となり、一定のブランド価値を構築できつつあります。

 

 2023年度も様々な新製品を投入してまいります。

3月には黄えんどう豆とオリーブオイルと岩塩だけでつくった「ZENBチップス」を発売いたしました。

軽食のかわりにもなる「ZENBチップス」は小麦や米よりもヘルシーで食物繊維も豊富で、かつ、地球にもやさしい間食が楽しめるとして大変好評をいただいています。

また、更に幅広いお客様にZENBブランドを知っていただき、体験いただくために、ZENBの価値観を共有いただける様々な企業と連携し、リアルな接点を含めたオムニチャネルの展開も推進してまいります。

今後もポップアップストアやメディアを活用した認知拡大策やリアルなイベントでの直接の体験機会を増やして、生活者との接点を拡大し、更なる認知拡大と新規顧客の拡大を図ってまいります。

7月以降も新商品と様々なコミュニケーション・体験企画を予定しております。

 

2023年度も「『食べる』のぜんぶを、あたらしく。」、「新しいおいしさで変えていく社会」の実現をめざし、ステークホルダーとともに価値創造の取り組みをすすめてまいります。

 

 

 今後もミツカングループは「買う身になって まごころこめて よい品を」、「脚下照顧に基づく現状否認の実行」を永遠に守るべき2つの原点とし、「未来ビジョン宣言」に沿って、「人と社会と地球の健康を大切にする」、「おいしさと健康の一致」の実現に向け、グローバル展開を推し進めながら、環境変化に対応し、「ミツカンらしい経営による持続的な成長」を目指していきます。