2021年度 ミツカングループ決算概要について

企業 2022年6月3日

ミツカングループの2021年度(2021年3月~2022年2月)決算概要は以下のとおりです。


ミツカングループ


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区分 業績 前年度比 (2020年度金額)
売上高 2,355億円 96.9% 2,429億円
経常利益 72億円 42.2% 172億円
償却前営業利益(EBITDA) 234億円 72.1% 325億円


エリア別


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区分 業績 前年度比 (2020年度金額)
日本+アジア事業売上高 1,183億円 98.3% 1,203億円
北米事業売上高 1,018億円 93.4% 1,090億円
欧州事業売上高 152億円 113.5% 134億円


国内セグメント別


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区分 業績 前年度比 (2020年度金額)
家庭用売上高 957億円 96.3% 995億円
食酢 263億円 97.9% 269億円
ぽん酢 147億円 95.2% 155億円
つゆ・鍋つゆ 192億円 95.9% 200億円
納豆 268億円 99.1% 271億円
業務用売上高 198億円 104.8% 188億円

注) 金額は純額表示



1.ミツカングループ2021年度業績概況

 2021年度のミツカングループ合計売上高は、前年から3.1%減の2,355億円となりました。

経常利益は前年から57.8%減の72億円となりました。

 2020年度は、国内、海外ともに家庭用商品売上が伸張し、業務用商品売上について苦戦するという状況でした。2021年度は、コロナ特需の反動による需要縮小、インフレの影響をふまえながら、商品開発やコストダウン、価格改定などすすめておりましたが、北米におけるサプライチェーンの混乱の継続や想定以上のインフレ、日本では簡便、即食需要の高まりによる家庭内での調理頻度の減少などの環境変化に迅速に対応しきれず、減収減益となりました。

 

海外売上高比率(グループ合計売上高に占める北米、欧州、アジアの売上)は50.2%となりました。

償却前営業利益(EBITDA)は前年から27.9%減の234億円となりました。



2.ミツカングループ2022年度取り組み方針

 2022年度はウクライナ情勢を起因とするインフレやサプライチェーンの混乱、米国の経済政策影響による円安など、引き続き事業をとりまく環境は予断を許さない状況にあります。

 それらが生活者の意識や行動に与える影響や変化に対応しながら、食品メーカーとして供給責任を果たしてまいります。

2022年度も引き続き、新たな成長のための投資や事業構造の変革を継続し、今中期経営計画(2019年度~2023年度)で掲げた「未来ビジョン宣言」の実現に向け、これに共感してくださるステークホルダーとともに、新しい価値観や食生活に寄り添った提案、共創価値創造をすすめてまいります。



3.各事業の概況


<日本+アジア事業>

 2021年度の日本+アジア事業の売上高は、前年から1.7%減の1,183億円となりました。

家庭用売上高は、内食需要の高まりで、前年度大きく伸張した水準に及ばず、食酢、ぽん酢、つゆ・鍋つゆ、納豆といった主要セグメントすべてにおいて減収となり、前年比3.7%減の957億円となりました。

一方、業務用売上高は新型コロナウイルス感染拡大前の2019年度水準まで回復はしておりませんが、前年から4.8%増の198億円となりました。

生活者の内食回帰の傾向は継続したものの、長引く新型コロナウイルス感染症による影響で、家庭内での「調理疲れ」から「簡便・即食」のニーズがより高まり、家庭内で調理をして食事をする機会が低減傾向にあり、家庭用調味料売上が前年を下回り、減収となりました。

 

食酢セグメントは、前年から2.1%減の263億円となりました。調理用途は前年度水準には及びませんでしたが、飲用用途の食酢ドリンクは前年水準を維持しております。

 

ぽん酢セグメントは、前年から4.8%減の147億円となりました。「餃子」や「さっぱり煮」のTVCM提案メニューについては一定の支持をいただけたものの、前年度大きく伸張した売上には及びませんでした。

 

つゆ・鍋つゆセグメントは、前年から4.1%減の192億円となりました。鍋つゆについては種類、オケージョンも広がり、春夏期における実施も増え、年間を通してのメニューとなりましたが、過去最高売上であった前年度水準には及びませんでした。

 

納豆セグメントは、前年から0.9%減の268億円となりました。健康意識の高まりにより納豆需要は引き続き堅調であり、過去最高売上であった前年度水準をほぼ維持しております。自社納豆事業の売上№1商品である「金のつぶ たれたっぷり!たまご醤油たれ」も前年から14%増と過去最高売上を更新いたしました。

 

 2022年度は、コロナ規制緩和からの外食需要の復調などが想定される一方で、ウクライナ情勢を起因とする変化を見通せない状況ではありますが、「健康」への関心や「簡便・即食」のニーズは継続していくと思われます。

生活者の内食、中食、外食を通じた様々な食事のオケージョンで、「健康」「簡便」「新しい食体験」を提供する提案をすすめてまいります。

 

 食酢につきましては、従来の健康機能の訴求だけにとどまらず、様々なステークホルダーと連携し「お酢15mlをおいしくとる」ことを、体験を通じた実感と共感を促すキャンペーン「みんなのお酢活」プロジェクトをすすめてまいります。

内食での提案だけでなく、外食企業と連携し「みんなのお酢活」プロジェクト協賛店でお酢を使った食事やドリンクを提供いただき、「お酢をおいしくとる」ことをさまざまな食事のオケージョンで体験いただく取り組みをスタートさせました。

 

 納豆につきましては、「ユニークなアイデアで食生活に“新しい体験価値” をつくる納豆」をコンセプトに、“金のつぶ”ブランドに注力し、ユニークさ、新しさ、楽しさをお客様にお届けしていきます。

好調な「たれで楽しむ納豆シリーズ」では、驚きの味わいと思わずご飯をかきこみたくなるようなおいしさの新商品、「金のつぶ にんにく醤油たれ」を6月1日に発売し、7月1日には「金のつぶ うな重納豆」の発売を予定しております。

これらの新商品で、新しいお客様の取り込みや喫食機会が増えたお客様が楽しく、おいしく食べ続けられることに貢献し、納豆市場の活性化に取り組んでまいります。

 

 また、「味ぽん」につきましては、幅広い世代から末永く支持され続けるブランドとなるよう、食品、調味料の枠を超えた体験や思い出となるブランドの接点を創出する「しあわせ、ぽん!」プロジェクトを始動しました。

第1弾では、「味ぽん」と本格イタリアンのコラボレーションが体験できるレストラン「AJIPON DANRAN DINING」を5月14日~29日にて期間限定でオープンしました。また第2弾ではTACOMA FUJI RECORDS監修による「味ぽん」とBEAMS TのコラボアートTシャツを制作、5月30日より販売開始いたしました(一部店舗では5月27日より先行発売)。第3弾以降でも、今までにない「味ぽん」ブランドとの接点、体験を提供する企画を予定しており、継続的に「味ぽん」ブランドに新しい価値を付加していく取り組みをすすめてまいります。



<北米事業>

 2021年度の北米事業の売上高は、前年から6.6%減の1,018億円となりました。

2021年2月に売却いたしましたペッパー事業の影響を除くと2020年度、2019年度水準は上回っております。

 

 2021年度はコロナ特需の反動、インフレの影響をふまえながら、コストダウンや価格改定をすすめましたが、サプライチェーンの混乱の継続による商品供給の制約の影響が一部あり、パスタソース全体では大きく伸張した前年度売上には及びませんでした。

パスタソースの中でもプレミアムブランドの「Bertolli(ベルトーリ)」は配荷が拡大し、伸張しました。

食酢を中心とした調味料事業については前年度売上を上回っております。

 

 2022年度はウクライナ情勢の長期化が懸念される中、これを起因とするインフレやサプライチェーンへの影響を見通すことは非常に困難ですが、生活者の意識や行動、流通、小売業の変化に適切に対応し、商品政策・価格政策を推進してまいります。

具体的には、パスタソースでは昨年下期に発売し、好調な「Bertolli(ベルトーリ)」の新商品「d’Italia(ディーイタリア)」の更なる拡売や、新ブランドでのパスタソースの発売、食酢でも好調なブランド品の拡売、堅調に成長する日本食関連の新商品の配荷などの取り組みを強化し、引き続き「未来ビジョン宣言」実現に向けた新たな価値創造と事業構造の変革に取り組んでまいります。



<欧州事業>

 2021年度の欧州事業の売上高は、前年から13.5%増の152億円となりました。

脱コロナ政策への移行後、外食需要が戻り、内食需要が下がるという状況の中、スィートピクルスの「Branston(ブランストン)」や食酢の「SARSON’S(サーソンズ)」など、家庭用の主力ブランドについては、前年度大きく伸張した売上には及びませんでしたが、テイクアウト、デリバリー需要が伸び、日本食を中心とした業務用事業が好調に推移し、欧州事業全体では増収となりました。

 

 2022年度も生活者の変化に適切に対応し、「未来ビジョン宣言」実現に向けて取り組みをすすめてまいります。

具体的には家庭用主力ブランドである「Branston(ブランストン)」や「SARSON’S(サーソンズ)」の若い世代への拡売を図ってまいります。

また、日本食を中心とした業務用事業では新しいチャネルへの取り組みを強化し、売上拡大を狙ってまいります。



<ZENB事業>

 「ZENB」は、植物を可能な限りまるごと使い、おいしくてカラダにいい、「人と社会と地球の健康」に貢献する、ウェルビーイングな食生活を提案するブランドです。

 2021年度もZENBが掲げる価値観や考え方に賛同してくださる人達の共感、共鳴を醸成するためのコミュニケーション活性化に重点的に取り組んでまいりました。

マイレージアプリ「Miles(マイルズ)」へのローンチパートナーとしての参画や、体験型ストア「「b8ta(ベータ) Tokyo – Shibuya」への出品、表参道の外食店との「ZENB in 表参道 EAT WELL”BEAN”ING」プロジェクトの実施など、ZENBブランドが提供する世界観の体験を通じた認知拡大を推進してまいりました。

新商品では「ZENB STICK オリジナル」を愛用されているお客様との意見交換を通じて開発した「ZENB STICK リッチテイスト」を発売いたしました。

また、「ZENB NOODLE」に続く新主食を提案する商品として、黄えんどう豆100%の「ZENB MAMERONI(ゼンブマメロニ)」を発売し、どちらも好評を得ております。

 

 2022年度は5月に「ZENB NOODLE」の第2弾として細麺タイプを新たに発売いたしました。

累計販売数400万食を突破している「ZENB NOODLE」に、ゆで時間も短く、のどこしの良い細麺タイプを加え、夏場の冷製メニュー提案をすすめ、主食としての提案の幅を広げてまいります。

7月以降も新商品と様々なコミュニケーション・体験企画を予定しておりますので、ご期待ください。

2022年度も「『食べる』のぜんぶを、あたらしく。」、「新しいおいしさで変えていく社会」の実現をめざし、ステークホルダーとともに価値創造の取り組みをすすめてまいります。




<「未来ビジョン宣言」実現に向けた取り組み>

 2021年度も様々なステークホルダーとの「対話」を通じた新しい価値の共創に取り組んできました。

京都市との食品ロス削減に資する連携取組や、北海道庁とホクレン農業協同組合連合会との食品ロス削減メニュー開発プロジェクト、高知県安芸市のゆず農家の皆様との共同商品開発など、「人と社会と地球の健康」と「新しいおいしさで変えていく社会」の実現に向け、新たな共創のステージの1歩を踏み出しています。

2022年度も引き続き、ステークホルダーとともに新しい共創価値創出をすすめてまいります。

 

 また現在、「未来ビジョン宣言」の実現に向け、ミツカングループ創業の地、愛知県半田市に2022年度中の稼働をめざし、パイロットプラントを建設中です。

「未来ビジョン宣言」で掲げた「人と社会と地球の健康」を実現していくために、「おいしさと健康の限りない一致」に向け、社内外の技術者・有識者が集い、ともに研究開発、技術開発をすすめる拠点です。

創業の地、半田市から、地域に、世界に「新しいおいしさで変えていく社会」に貢献する価値を共創するとともに、ミツカングループ技術者の聖地であり、技術の伝承と革新をもって英知を磨いていく施設にしていきたいと考えています。

竣工日や詳細が決まりましたら、改めてご案内させていただきます。



 今後もミツカングループは「買う身になって まごころこめて よい品を」、「脚下照顧に基づく現状否認の実行」を永遠に守るべき2つの原点とし、「未来ビジョン宣言」に沿って、「人と社会と地球の健康を大切にする」、「おいしさと健康の一致」の実現に向け、グローバル展開を推し進めながら、環境変化に対応し、「ミツカンらしい経営による持続的な成長」を目指していきます。