動物行動学から見つめる、ワンちゃんとのくらし

2026.10.05

暮らし

「最近ちょっと気になる行動が多いかも…?」

「今日は、なんだかいつもより落ち着かない感じがする」

大切なワンちゃんの普段と違う様子、気になりますよね。
その原因は、私たち飼い主の生活環境と、ワンちゃんの性質とのズレにあるかもしれません。

忙しい現代社会を生きる私たちの暮らしと、ワンちゃんが本来持っている性質の間には、どうしても生じてしまうギャップがあるのです。動物行動学の視点から、ワンちゃんとの暮らしの中で、今日からできる工夫をご紹介します。

ワンちゃんのこころに関わる、暮らしのあれこれ

周囲の音に対するストレス

ワンちゃんは、私たち人間よりもはるかに発達した耳を持っています。ワンちゃんは人よりも高い周波数の音まで聞き取ることができ、私たちには気にならないような音にも反応することがあります。

そんなワンちゃんにとって、「音」は周囲の状況や、そこが安全な環境かどうかを把握するのにとても重要な情報です。人以上に敏感だからこそ、慣れない騒音や不快な音などがストレスとなってしまい、吠えなどの行動につながってしまうこともあります。大切なのは、吠える行動だけを止めようとするのではなく、その音に対して感じている恐怖や不安、興奮などにも目を向けることです。

長時間の留守番

ワンちゃんは社会性の高い動物で、飼い主さんと離れて過ごすことが苦手な子もいます。特に日本では、仕事の都合などによる長時間の留守番が続くことで、一部のワンちゃんでは不安やフラストレーションなどのストレスにつながることがあります。

なかなか満足に散歩できない

おうち時間が長いワンちゃんにとって、匂いや音を自分で探りながら歩き回れる散歩の時間は、とっても楽しく、かけがえのない時間です。散歩では、運動だけでなく、匂いを嗅いだり周囲を探索したりする機会を得ることもできます。こうしたワンちゃんらしい行動を楽しめる時間を取り入れることは、生活を豊かにする一つの方法です。思い通りに散歩ができない状況は、ワンちゃんにとってフラストレーションが溜まる要因にもなります。

ワンちゃんともっと心地よく暮らすためのひと工夫

暮らしのなかでのこういった場面は、私たち人と同じ社会で生活を共にするワンちゃんにはつきものです。

けれど、いきなり生活を大きく変えることは難しいですよね。

そんな中でも、ちょっとした工夫でワンちゃんが心地よく過ごすことができるヒントをご紹介します。

気になる音には、無理なく少しずつ慣れる工夫を

ワンちゃんが不安や恐怖を感じる音に対しては、まずできるだけ強い刺激を避け、安心して過ごせる環境を整えることが大切です。

そのうえで、ワンちゃんが怖がらない程度の小さな音から少しずつ慣らしていく方法もあります。おやつなど好きなものと組み合わせることで、音に対する印象を良い方向へ変えていくこともいいでしょう。こうした方法は、音への恐怖や不安を和らげるための行動トレーニングとして用いられています。

※ただし、怖がっている状態で無理に音を聞かせると、かえって恐怖を強めてしまうことがあります。強く怖がる様子がみられる場合は無理に続けず、獣医師などの専門家に相談しましょう。

留守番中は、安心できる環境づくりを

ワンちゃんの中には、飼い主さんと離れることに不安を感じ、留守番中に落ち着かなくなる子もいます。飼い主さんのにおいがついたものや、録音した声などが、留守番中の不安や緊張をやわらげる可能性を示した研究もあります。ただし、反応には個体差がありますので、その子が落ち着いて過ごせるかを確認しながら取り入れましょう。

ワンちゃんとの自由な散歩をたのしむ

散歩中、ワンちゃんが立ち止まってくんくんと匂いを嗅いでいる時には強引にリードを引っ張らず、ワンちゃんが気の済むまで、付き合ってあげてみてください。時にはワンちゃんにペースを委ねてみると、散歩の満足度が大きく変わります。また、どうしても散歩ができない日には、室内で遊んで刺激不足を解消するのも良い方法です。

おわりに

ワンちゃんと飼い主の心地いい日々には、毎日の小さな工夫の積み重ねが大切です。
「今、この子はどんなことを感じているのかな?」
そんな風に、ワンちゃんの気持ちを想像しながら向き合えることこそが、ワンちゃんにとっては一番の安心感につながるのかもしれません。

参考文献

  • 鹿野正顕『犬にウケる最新知識』(2024)
  • 茂木千恵『犬の気持ちとしぐさがよくわかる!』(2023)
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