
帰宅した瞬間、全力で喜んで飛びついてくる。名前を呼ぶと、首をかしげてこちらを見る。散歩中、急に立ち止まってにおいをかぎ続ける。
ワンちゃんと一緒に暮らしていると、「かわいいな」と思いながら、「いったい何を考えているのかな?」とふと思うことってありますよね。
実は、そんなワンちゃんの何気ない行動のひとつひとつには、ワンちゃん特有の性質や経験、置かれている状況など、さまざまな背景があります。そうした行動を科学的に研究するのが「動物行動学」です。
動物行動学とは、動物の行動を観察・実験によって解明する学問であり、1973年には、コンラート・ローレンツらが動物の行動パターンに関する研究でノーベル生理学・医学賞を受賞するなど、以前より研究が進められてきた分野です。
近年ではペット業界への応用も進んでおり、犬の認知や、人とのコミュニケーション・関係性についてもさまざまな研究が行われています。
動物行動学を知ると、毎日をともにするパートナーの「一見当たり前に見える行動」が、また違った見え方になってきます。
たとえば、帰宅したときにワンちゃんが飛びついてくる行為は、飼い主さんに再会できたうれしさによる興奮や、接触・コミュニケーションを取りたいという欲求から起こるといわれています。また、ワンちゃんと飼い主さんが見つめ合うなどの交流においては、犬と人の社会的なつながりに関わるホルモンであるオキシトシンが、双方で高まることを示した研究もあります。こうしたコミュニケーションは、人と犬が長く共に暮らすなかで育まれてきた、ワンちゃんと人の関係特有の現象であると考えられています。
このように、動物にはそれぞれ特性があり、同じ行動をとっていてもその意味や理由が異なることがあります。

ワンちゃんの行動には一つ一つ理由があります。ときどき飼い主さんが「困ったな」と感じるような行動にも、ワンちゃんにとっては大切な意味があるのです。その一例を紹介します。
| ワンちゃんの行動 | 考えられるワンちゃんの気持ちの一例 |
|---|---|
| 来客があると吠えやまない | 警戒、恐怖、興奮、接近要求、学習された反応など |
| 留守番中の物の破壊 | 不安、フラストレーション、探索、普段の咀嚼行動など |
| においをいつまでも嗅ぎ続ける | 周囲の環境やほかの犬が残したにおいの探索など |
同じ行動でも、その背景はワンちゃんや状況によってさまざまです。叱る前にワンちゃんの行動の理由を考えてみることで、対策や他の方法を選ぶことにもつながります。
動物行動学の考え方に触れてみると、ワンちゃんとの毎日に新しい発見が見つけられるきっかけになります。
ワンちゃんのことを改めて見つめなおし「なぜその行動をするのか?」をほんの少し知るだけで、ワンちゃんとの絆をさらに深めることができるかもしれません。
参考文献